Markt毎月1回最新の観光ニュースや日本でのイベント、メディア情報などをお知らせ

女スパイの代名詞 マタハリを訪ねてオランダの北へ

レーワルデン オランダ

オランダ北部にあるフリースランドの州都レーワルデンは、2018年の欧州文化首都 European Capital of Culture としていま盛り上がりつつあります。街の中心、190年の歴史がある「フリース・ミュージアム」では、今秋から来年にかけて、地元ゆかりの著名人の企画展が観られます。とてもユニークな内容となっていますので、オランダへお越しの際はぜひレーワルデンにも足を延ばしてみてください。

欧州文化首都に向けて盛り上がるレーワルデン

レーワルデン フリース ミュージアム オランダ

2013年に現在の新しい建物に移った「フリース・ミュージアム」では、古代の遺跡、17~18世紀に作られた名産の銀器、古代ローマやエジプトをテーマに美しい絵を写実的に描いた19世紀の画家ローレンス・アルマ=タデマ、伝統的な絵付家具ヒンデローペン塗りのコレクション・ルームといった多彩で興味深いコレクションが展示されています。ここで、今秋取り上げられるのはレーワルデン生まれのマタ・ハリとして知られるひとりの女性です。

「マタ・ハリ:神話と乙女」
会期:2017年10月14日~2018年4月2日

Portrait of Mata Hari, by Reutlinger photo studio in Paris (detail), Bibliothèque nationale de France

Portrait of Mata Hari, by Reutlinger photo studio in Paris (detail), Bibliothèque nationale de France

マタ・ハリ(Mata Hari)は、レーワルデン生まれのオランダ人で、踊り子として活躍しますが、第一次世界大戦中にフランスの秘密警察にスパイとして捕らえられ、処刑されました。今日では「マタ・ハリ」とは女スパイの代名詞となっています。本名はマルガレータ・ヘールトロイダ・ゼッレ(Margaretha Geertruida Zelle)。生誕の地レーワルデンで初めて開催される回顧展は、ちょうどマタ・ハリが没後100年を迎える前日、2017年10月14日に開幕します。

Mata Hari in Milan, 1911/1912, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden

Mata Hari in Milan, 1911/1912, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden

オランダ国内外から集められた、マタ・ハリに関する100点のモノが展示されます。最近、機密文書から外されたフランス軍のファイルも本展で初公開となります。ミステリアスな踊り子で、女スパイだったマタ・ハリについて、これほど大きな企画展は世界初となります。

Composition of various objects related to Margaretha’s children, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden. Photography: Erik and Petra Hesmerg

Composition of various objects related to Margaretha’s children, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden. Photography: Erik and Petra Hesmerg

展覧会では、フランス軍によりヴァンセンヌに100年眠っていた監視報告書、聞き取り調査の写し、マドリッド駐在のドイツ軍アタッシェとのやり取りを傍受したテレグラムなどの証拠といった、マタ・ハリに関する記録が公開され、当時の裁判の様子が浮き上がります。

マタ・ハリことマルガレータの学業レポート、レーワルデン時代にしたためた詩集などから少女時代が明らかになります。また、オランダ東インド会社時代の手紙や写真から、ひとりの女性、息子と娘のいる母としての素顔が見えてきます。不幸にして息子を亡くした後、マルガレータは夫と離婚しますが、夫は当時法律で認められていた扶養費の負担を拒否し、娘とマルガレータが面会するのを禁止しました。マルガレータは、娘へ気持ちを残しつつパリで自立する道を選びます。

Mata Hari as a dancer in Paris, 1905, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden

Mata Hari as a dancer in Paris, 1905, Museum of Friesland Collection, Leeuwarden

1905年のギメ美術館(パリ)での踊り子としての初公演を皮切りに、ローマ、ベルリン、ウィーン、マドリッドといった欧州都市で評判となり、あっという間に売れっ子になったマタ・ハリ。ところが1917年、フランス秘密警察によりスパイ容疑でつかまり、反論を試みたものの、軍事裁判で有罪となり処刑されました。

フランスのギメ美術館からは、マタ・ハリが同美術館の図書館で公演した際に使われたシバ神像とインドネシアの影絵が貸し出され、展示されます。この頃からマタ・ハリが収集し始めた、自身が登場するポスターや記事などのスクラップブックも公開されます。オランダ人画家イサーク・イスラエルスが描いたクレラー・ミュラー美術館収蔵のマタハリの絵は、この企画展のために修復され、展示されます。

死後、マタ・ハリとそのスパイとして暗躍は伝説となります。マタ・ハリはセックスシンボルとして、また男性を惑わすファムファタールとして記憶されるようになり、人々の想像力をかきてました。たくさんの本や脚本が書かれ、グレタ・ガルボ、シルヴィア・クリステル、マレーネ・ディートリッヒといった大女優たちがマタ・ハリを演じたことから、女スパイとしてのミステリアスなイメージが強められていきました。実際に波乱万丈の人生を送り、死して伝説の女スパイとなったマタ・ハリ(マルガレータ・ヘールトロイダ・ゼッレ)の素顔に会いに、フリースランドへ行ってみませんか?

ヒンデローペン誕生の秘密

フリース・ミュージアムでは、レーワルデン近郊の小さな村ヒンデローペンで発達した伝統手工芸「ヒンデローペン塗り」の特別ルーム展示が2019年夏まで公開されています。

ヒンデローペン塗りの絵付師

ヒンデローペン在住の絵付師

北国ならではの木工に優しいペイントが施された、温かみのある作品は、今日では工房の数も少なく貴重なものです。ヒンデローペンはいまでこそ小さな村ですが、かつてはゾイデル海(現在のアイセル湖)を渡る船が、貿易港アムステルダムからたくさんの船が物資を運ぶ中継地として栄えていました。オランダらしいものと世界との貿易によってもたらされた遠い国のものが入り混じり、独自のアートに発展しました。

というのも当時のヒンデローペンの女性は、インドから輸入したカラフルな布をまとい、アジアからの陶器を家に飾っていました。そうした色彩豊かなものに負けないよう、家具にも色鮮やかな装飾を施したのが、ヒンデローペン塗りの始まりとされています。18世紀に貿易航路が大幅に縮小すると、商業船の船長は漁業へともどり、花やいだ港町はちいさな村へと戻っていきます。当時をしのぶことができるひっそりと残された文化が、ヒンデローペン塗りなのです。

だまし絵のM.C.エッシャーが帰ってくる

ハーグ エッシャー 美術館 絵画 オランダ

2018年、欧州文化首都となるレーワルデンでは、この町出身の世界的に著名なアーティストM.C.エッシャーに捧げる展覧会を開催します。故郷に凱旋する50以上のオリジナルのプリントの他、彼が好んだ旅や滞在した国について展示し、アーティストの心の旅路を辿ります。

フリース・ミュージアム Friesmuseum
住所:Wilhelminaplein 92, Leeuwarden
美術館公式HP(英語) www.friesmuseum.nl

≪アムステルダムからのおすすめの旅≫
往路 アムステルダム中央駅からアルクマールまで鉄道で40分。アルクマール発の路線バス350番の終点がレーワルデンです。途中、締切大堤防を渡ります。堤防中央にある展望台で下車し、休憩、撮影など。レーワルデンで1泊し、ミュージアム探訪や町散策をしてみましょう。
帰路 レーワルデン駅からSteenwijk駅まで40分。Steenwijkからバス70番で所要15分に水郷の美しい村ヒートホールンがあります。ランチ休憩をかねてのんびり散策。SteenwijkまたはMeppelまでバスで戻り、鉄道でアムステルダム中央駅へ。

レーワルデン近隣の見どころ
世界最古の動くプラネタリウムを訪ねてフリースランドへ
美しい水郷の村ヒートホールン
● 旅のレポート オランダの北に知られざる美しい村を訪ねて

ページトップへ