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世界でたったひとつ ベルギーの猫祭り

ベルギーで開催される世にも珍しいお祭りをご存じでしょうか? イーペル(Ieper)はベルギー西部にある人口4万人ほどの静かな町ですが、3年に1度、5月の第2日曜日になると猫たちに捧げられた「猫祭り(Kattenstoet )」が開催され、街中に猫の仮装をした人々が溢れます。この日を目指して、各地から猫好き、お祭り好きの人々がイーペルに集まり、にぎやかな騒ぎとなります。

(c) Stad Ieper, Tijl Capoen

(c) Stad Ieper, Tijl Capoen

イーペルは、中世のころ、英国から輸入した羊毛を国内で加工し、高級な毛織物として輸出することで栄えた町です。 ウールを扱う繊維業にとって猫は不可欠でした。 貴重な羊毛製品を保管しておくため、イーペルの人々はネズミなどの害獣を退治する猫を保護し、大切にしていたそうです。

そんなイーペルでも一時、町の繊維協会の塔の上から猫を放り投げるという慣習がありました。 はっきりとした理由はわかっていませんが、西欧の多くの地域で、中世のころの迷信のひとつとして、悪事をなす魔女と猫がセットで考えられていたためという説があります。 一方で、大切にしていた猫たちが増えすぎてしまい、ペストなどの病気をもたらす危険があるという風説が高まって、仕方なく一部のかわいそうな猫が捨てられたのだとも言われています。

イーペルの人々にとって、猫は切っても切れないつながりのある動物。こうした歴史を記憶に留めるため、本物の猫の代わりにぬいぐるみを繊維会館の上から投げるという形に変えて、平和と友好を願うお祭りとして1938年に猫祭りをスタートしました。

イーペルの郊外には第1次世界大戦の戦場にも、たくさんの赤いポピーが咲き平和へのシンボルとなった

イーペル郊外にある第1次世界大戦の主戦場、たくさんの赤いポピーが咲き平和へのシンボルとなっている

最初は、子供たちが猫の人形をもってパレードする小規模なものでしたが、お祭りを盛り上げたいという市民の気持ちが高まって、1955年に大きなパレードがに開催されます。 イーペルは第一次世界大戦で激戦地となった場所。 戦争の傷跡から立ち直るという意味もあり、当時の市長や町の有力者は猫祭りを華やかなパレードに仕立てることに賛成しました。 町の人たちがひとつのプロジェクトに向けて、力を合わせることによって、地域のきずなを深めることができると考えたのです。

イーペルの人々は、猫祭りを町の再生を象徴するものとして大切に育てています。 その努力が実り、愉快で楽しい『猫の町イーペル』が世界に知られるようになりました。 1990年代以降、猫祭りは3年に一度、5月の第2日曜日に開催されています。 次の開催は、2018年5月13日です。

(c) Stad Ieper, Tijl Capoen

道化師や中世の衣装に身を包んだ人も登場するパレードは見ていて飽きない
(c) Stad Ieper, Tijl Capoen

猫祭りの中心となる「パレード」には、猫の仮装を中心に魔女の扮装や中世の衣装を身にまとった数千人の市民が登場します。 地元の子供たちも加わり、その仮装は微笑ましく可愛らしいもの。 パレードのフィナーレを飾るのは、巨大な猫の人形です。 CIEPER(シーペル)と呼ばれる6mもあるのは、頭に王冠を授けられた猫の王様。 白色の猫の女王様も登場します。

(c) Stad Ieper, Tijl Capoen

猫の女王様 (c) Stad Ieper, Tijl Capoen

祭りの最後に、鐘楼の上から猫のぬいぐるみが道化師によって投げられます。 下のマルクト広場で待ち構える大勢の人の中から、見事、人形を手に入れることができた人には大きな幸運が訪れると言われています。毎回、たいへんな争奪戦です。

イーペルの猫祭り
日程:2018年5月13日(予定)
イベント公式ウェブ(英語) http://www.kattenstoet.be/

路上でのパレードの観覧は無料です。特別観覧席は有料となります。上記イベントのウェブにて1月中旬頃から観覧席のチケットを販売します。

アクセス:ベルギー、ブリュッセルの中央駅からイーペル(Ieper)駅までは、ポッペリンゲ(Poperinge)行きのIC(Intercity)を利用して、約1時間45分。

イーペル市内の見どころ

マルクト広場 右奥に繊維会館 (c) Westtoer

 (c) Westtoer

イーペルは、ブリュッセルの西100kmほどにある、西フランダース州の町。 中世の面影を色濃く残す旧市街は運河で北海と結ばれ、中世に毛織物産業の中心地として栄えました。 その繁栄を今に伝えるグロートマルクトに立つ壮麗な繊維会館と鐘楼は、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。 こうした歴史建造物や広場などの散策も楽しいですし、近郊に広がる緑豊かなフランダース平原をウォーキングやサイクリングで楽しむアクティビティも人気です。

★ グロートマルクト Grote Markt: 町の中心にある広場。中央に繊維会館があります。
★ 繊維会館 Lakenhalle van Ieper: 1304年に完成した繊維会館はフランス・ゴシック様式の傑作。第一次世界大戦で鐘楼と一部の壁を残して壊滅状態となりましたが、後に再建されました。高さ70mの鐘楼には、49の鐘が吊るされ、鐘を使った楽器カリヨンが美しい調べを奏でます。 1階のイン・フランダース・フィールズ博物館は主戦場となったイーペルの戦争の歴史を伝えるミュージアム。
★ 聖マルタン大聖堂 St.-Maartenskathedraal: 13世紀のフランス・ゴシック様式の大聖堂。第一次世界大戦後に再建。堂内には、神学者ヤンセンの墓や戦没者記念碑があります。

(c) City of Ypres-Tijl Capoen

(c) City of Ypres-Tijl Capoen

 

(c) Toerism Ieper

(c) Toerism Ieper

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