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デ・スタイル100年 モンドリアンの大回顧展

19世紀にオランダで生まれた≪デ・スタイル芸術運動≫が100周年を迎えた本年、「モンドリアンからダッチ・デザインへ」として、デ・スタイルから現代のオランダのデザイン(ダッチデザイン)への流れを読み解く企画展やイベントがオランダ各地で開催されています。

そのハイライトがハーグ市美術館(Gemeentemuseum)ではじまった「モンドリアン回顧展(The Discovery of Mondorian)です。2017年9月24日まで開催されます。

※デ・スタイル100周年のイベントや関連スポットはこちら(英語)で詳しくご覧いただけます

オランダ語でスタイル=様式を意味する「デ・スタイル(De Stijl)」は、第1次世界大戦の最中の1917年に創刊され、1928年まで続いた雑誌「デ・スタイル」を中心に行われた芸術運動です。画家モンドリアンはその中心的な人物でした。2次元(絵画)の世界で、デ・スタイル誌がなくなった後も終生、その理念を追求しました。19世紀から現在にいたるまで、美術、デザイン、建築などの分野で、モンドリアンは強い影響を与えています。

モンドリアンの生まれた国オランダで、初期の作品から遺作「ビクトリー・ブギウギ」まで全時代の作品を展覧する≪モンドリアン回顧展≫が開催されています。現代のアートやデザインを見つめる上でも、たいへん興味深い企画展です。

ハーグ市美術館は、世界最大のモンドリアン・コレクション約300点を所蔵しています。その所蔵作すべてが本展に展示されています。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

≪モンドリアン回顧展≫は現地でも大人気。週末には開館と同時に、たくさんの人がやってきました。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

モンドリアンは芸術に理解のある家族に囲まれ、幼少のころから画家を目指していました。初期は、伝統的な技法を習い、風景画から始めています。オランダの風景画にしては空の面積が少なく、樹木をたくさん描いていました。

ハーグ市美術館が所蔵するモンドリアン作品には、初期のオランダ時代の作品が豊富です。これまで状態が悪く倉庫に眠っていたものを、本展のために修復し、初めて公開する貴重な作品も含まれています。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

風景画の中にオランダを象徴する風車が度々登場します。前期のものと後期のもの(色彩を得た後のもの)では、描き方が顕著に変わっています。

モンドリアンは、オランダで最初に開かれたゴッホの回顧展を観た後、ガラッと作風を変えます。そこには新たに色が生まれました。

モンドリアンはやがて、アムステルダムからパリへ移住し、一度戦争でオランダへ戻りますが、第2次世界大戦のときにロンドン、そしてニューヨークへ渡ります。

 

Piet Mondriaan - Molen; Molen bij zonlicht (1908)

Piet Mondriaan – Molen; Molen bij zonlicht (1908)

その後、キュビズムの影響のもと再び「樹木」を描きます。このモチーフが抽象概念となり、垂直と水平の線へと昇華されていきます。

モンドリアンはキリスト教徒の家庭に育ちましたが、あるときから二元論的な哲学に傾倒します。あらゆるものを、物質と精神、男性的と女性的、内面と外面といったような2項に分け、そのバランスをとることで世界が成り立っていると考えるようになったそうです。大地から天に向けて伸びる樹木のイメージを使って、自然の力を水平と垂直の線で究極に表現しようとしました。

ピエト・モンドリアン「夜、赤い木」 Gemeentemuseum Den Haag所蔵

モンドリアンが提唱した「新造形主義」において、世界はわずかな線と色(三原色と黒・白・灰)で表現されるようになりました。また世界のバランスを維持するためにダイナミックなリズムがあり、後年の抽象画において、均衡とリズムのふたつが絶妙に表現されていきます。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

こちらは、モンドリアン作品のなかでは珍しい人物(女性)が中心となった絵画です。宗教的な構図(3連祭壇画)をもち、中央の女性は覚醒、両脇の女性はまだ瞑想中といったところ。伝統絵画から抽象画への移行の間に、2元論や哲学的な思考から発生した、スピリチュアルな表現が多くみられます。

キュビズムから抽象画へ。パリの都会を描いた作品。この時期、色使いはまだ定まっていません。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

モンドリアンは徐々に自然を描くことをやめ、都会(街)の中に究極の世界を見出すようになります。人の作る世界が、自然を超えて、より美しいと考えていたといいます。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

モンドリアンを有名にした、後期の作品。画家が提唱した「新造形主義」において、世界はわずかな線(垂直と水平)と色(三原色と黒・白・灰)で表現されるとされています。また2元論的な世界のバランスを維持するために、調和の中にもダイナミックなリズムが表現されています。

モンドリアンは、デ・スタイル運動が終わったあとも自身の理念を変えず、生涯「新造形主義」のルールに則った作品を作り続けました。

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

遺作(未完)となった「ビクトリー・ブギウギ」。ニューヨークでは着いたその日に、友人の若いアメリカ人アーティストと一緒にジャズのコンサートに出かけたほど、ジャズが好き。そんなリズムが作品にも感じられます。

 

ハーグ モンドリアン デスタイル 市立美術館 オランダ

展覧会会場では遺作を間近で見ることもでいます。近くで見ると、テープを貼って修正をしていることがわかります。会場では、自身の作品のような色使いの壁に囲まれたモンドリアンのアトリエ映像なども上映されています。

 

Gemmentemuseum 2017, Mondriaan in zijn atelier in New York (1943) Foto Fritz Glarner. Collectie RKD DH

Gemmentemuseum 2017, Mondriaan in zijn atelier in New York (1943) Foto Fritz Glarner. Collectie RKD DH

その作風から、几帳面なイメージを持たれるかもしれませんが、実際のモンドリアンは生涯独身ながら恋人が幾人もいて、にぎやかでナイトクラブへ出かけるのを好み、踊ることを楽しむように人生を楽しむことが上手な人だったそうです。

ハーグ市立美術館のあるハーグでは、デ・スタイル100周年と画家モンドリアンに敬意を表して、市庁舎からショッピングストリートまで、市内のいたるところでモンドリアン・カラーの装飾が観られます。市内散策も楽しんでみてください。

ハーグ デスタイル モンドリアン オランダ

ハーグ デスタイル モンドリアン オランダ

 

ハーグ デスタイル モンドリアン オランダ

 

ハーグ デスタイル モンドリアン オランダ

ハーグ モンドリアン デスタイル オランダ

ハーグ市美術館 Gemeentemuseum

≪モンドリアン回顧展≫
THE DISCOVERY OF MONDRIAN
会期: 開催中~2017年9月24日(日)
午前10時~午後5時
※休刊日:月曜日
住所:Stadhouderslaan 41, Den Haag
オランダ鉄道ハーグ中央駅からは、駅前バス乗場から24番で20分。

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