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ヴィクトール・オルタの傑作、アールヌーヴォーの宝飾店を公開

ベルギー屈指のアール・ヌーヴォーの傑作がまたひとつご覧いただけるようになります。ブリュッセルに数々の美しい建築を残したヴィクトール・オルタ。アールヌーヴォーの第一人者が設計を手がけた『ウォルファース・フェレス宝飾店』が105年の時を経てよみがえり、2017年11月29日よりブリュッセルの「サンカントネール博物館」で一般公開されます。

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サンカントネール博物館
ベルギー王立美術歴史博物館の中心となるミュージアムです。古代ペルシャ、エジプト、中国、マヤ、アフリカまで、時代も出自もさまざまな世界各地の一流工芸品を収蔵しています。ベルギーの装飾工芸も中世のタペストリーやレースといった繊細な作品から、近代のアールデコまで貴重な作品を網羅しています。

かつてブリュッセルのアーレンベルグ通りで営業していたウォルファース・フェレス宝飾店のインテリアは長年、サンカントネール博物館の倉庫に眠っていました。全体を完全な形で観てもらいたいと、サンカントネール博物館では数年前よりプロジェクトを展開。

当時の店舗と同じ面積を確保し、オルタ設計の家具、棚、扉などを元通りに組み直し、当初の設計通りに注意深く配置されました。真鍮は磨き上げられ、布製部分などは同素材で修復されました。多大な時間と手間をかけて再建されたアールヌーヴォーの傑作は、11月末より一般公開されます。20世紀初頭の宝飾店を訪れる紳士淑女の気分で、オルタの美しい作品の中を歩くという体験が楽しめます。

ウォルファース・フェレス宝飾店
当時は宝飾店といっても既成品を売るのではなく、各社オリジナルのデザインを作っていました。ウォルファース・フェレス宝飾店でも自社のアトリエで作った製品を販売していました。創業者ルイス・ウォルファースはドイツからやってきて、1850年に銀食器の店をスタート。その後、3人の息子が共同経営者となり事業を拡張。宝飾品も取り扱うようになりました。

長男フィリップ・ウォルファースは、アールヌーヴォーのデザインを見事にとりいれた作品を生み出す優れたデザイナーでした。彼が手がけた作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館に展示されるなど、芸術品として高い評価を得ています。ブリュッセルのサンカントネール博物館も、ウォルファース・フェレス宝飾店が生んだ素晴らしいジュエリーのコレクションを多数所蔵しています。

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株式投資などで財をなしたニューリッチと呼ばれる客層の心をつかむため、1909年、新店舗の設計をアールヌーヴォーの立役者であり、当時すでに著名な建築デザイナーとして知られていたヴィクトール・オルタに依頼したのは、自然な流れでした。

ウォルファース・フェレス・ブリュッセル店は、1912年11月4日に完成します。ブリュッセルの他に、ベルギーのアントワープ、ゲント、リエージュ、ドイツのデュッセルドルフ、ケルン、フランクフルト、フランスのパリなど欧州圏に事業を拡大し、一世を風靡します。

ブリュッセル本店は1970年代まで店舗として使用され、1973年に銀行が建物を買い取った後、店舗の内装はサンカントネール博物館へ送られ、2015年に再建および一般公開への事業が認められるまで、その多くの部分は倉庫に眠っていました。

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ヴィクトール・オルタ(1861-1947)
フィリップ・ウォルファースは、自分の店で販売される宝飾品を最も美しくみせてくれるデザイナーとしてアールヌーヴォーの第一人者、ヴィクトール・オルタを指名します。オルタは、1893年に完成したタッセル邸が「アールヌーヴォー」の代名詞となり、以降、ブリュッセルの富裕な実業家や資産家であるソルヴェー、ヴァン・イートヴェルデ、オベック、アレなどの私邸を設計していきます。これらの私邸のうちいくつかは、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。ウォルファース・フェレス宝飾店は、オルタが手がけた商業施設としては希少な例となり、第1次世界大戦前に仕上げた最後の大作でした。

サンカントネール博物館 Cinquantenaire Museum
住所 Parc du Cinquantenaire 10, 1000 Brussels
最寄り駅:Merode、Schuman
開館:火~金 午前9時30分~午後5時
土日 午前10時~午後5時
※チケット販売は閉館の1時間前まで
閉館日:月曜日、1月1日、5月1日、11月1日、11月11日、12月25日
公式HP(英語)

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