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蘇った名画「悪女フリート」の帰還とブリューゲル展

画家ピーテル・ブリューゲル(父)は、自然、人間性、ユーモアなどをテーマに描いたフランダースが誇る巨匠です。美術史上のどの作風にも当てはまらない独自性と、素晴らしい創造性があり、現代もたくさんの人々を魅了しています。

ブリューゲルの足跡はおもに、画業の初期に活躍したアントワープと、晩年まで過ごしたブリュッセルやその近郊に残されています。2019年はブリューゲルの没後450年。フランダース地方では様々なイベントや特別企画展を開催します。

ブリューゲル没後450年を祝おう(2019年のイベントや見どころなど)

ブリューゲルが、アントワープの「聖ルカ組合」に画家として登録されたのは1551年のこと。そのため、おそらく1525年~1530年頃に生まれたと考えられています。生誕の地の記録が残っていないため、その生い立ちは謎につつまれています。

画家になることを目指したブリューゲルは、当時のヨーロッパで学問と芸術の中心だったアントワープに移り住みます。数年の修行の後、ルーベンス、メムリンク、ブリューゲルの2人の息子ピーテル・ブリューゲル(子)とヤン・ブリューゲルなどの著名な画家が名を連ねた、聖ルカ組合に登録されました。版画作品などを通して名声を高めていったブリューゲルは、イタリアに短く滞在した後、1563年、新しい都市富裕層が醸成されつつあったブリュッセルへと移住し、1569年に亡くなるまでブリュッセルのマロール地区に住みました。

ベルギーにはブリューゲルの傑作が数点、残されています。ブリュッセルのベルギー王立美術館に「反逆天使の転落」や「鳥罠のある冬景色」といった作品が展示されています。

またもうひとつの活躍した町アントワープには「悪女フリート」と「12の諺」の2作品が、マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館で観られます。

マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館は、アートコレクターとして知られる富裕な貴族フリッツ・マイヤー・ヴァン・デン・ベルグの個人コレクションを展示する美しいミュージアムです。フリッツの死後、母ヘンリエットによりネオゴシック・スタイルの美しい館が建設され、1904年より一般公開されています。

ピーテル・ブリューゲル(父)作「悪女フリート」(中央)と「12の諺」(右)
Pieter I Bruegel, Dulle Griet in Museum Mayer van den Bergh, foto Ans Brys

美術館のハイライトは、ピーテル・ブリューゲル(父)の「悪女フリート」と「12の諺」です。そのほかにも、ブリューゲルがアントワープでその名声を広めることとなった版画を約30点所蔵しています。また、貴族の館といった風情の凝った装飾の建物や、13世紀から19世紀にわたる絵画、彫像、陶器、ステンドグラス、タペストリーなどの芸術的価値の高いコレクションが観られます。

ブリューゲルの「悪女フリート」は、ブリューゲル記念年に向けて修復が行われました。2019年1月末より故郷ベルギーのアントワープに帰還します。美しくよみがえった傑作を、ぜひマイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館でご覧ください。

「悪女フリート」は英語でMad Megの愛称で知られ、狂女フリートと訳されることもあります。絵画の中でひときわ目立つのは、防具を着け髪を振り乱して走る女性です。背後には戦う男性や燃え盛る炎が描かれています。この絵からは、いろいろなストーリーが憶測されてきました。フリッツ・マイヤー・ヴァン・デン・ベルグが絵を手に入れた当時は、専門家がこれは火山の噴火の場面だと言いました。現在は、男女の争いを象徴するものとされています。フリートは防具を身に着け、男性の衣装(ズボン)を身に着けています。背後にうごめく奇怪な生き物にヒエロニムス・ボスの影響が観られます。ずっと眺めていても飽きることのない、不思議な作品です。

マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館に帰還した「悪女フリート」 foto Ans Brys

秋の企画展
「フーケからブリューゲルへ(From Fouquet to Bruegel:仮題)」と題した特別企画展が2019年10月5日から開催されます。125年前のこの日、フリッツ・マイヤー・ヴァン・デン・ベルグがオークションで「悪女フリート」を手に入れました。アントワープ王立美術館所蔵のジャン・フーケ作「聖母子」と、マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館所蔵のピーテル・ブリューゲル作「悪女フリート」という女性をテーマにした2つの名画が合わせて展示され、その絵の魅力やミュージアムにやってきた運命が語られます。

ジャン・フーケ作「聖母子」

マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館
住所 Lange Gasthuisstraat 19, Antwerp
開館 火曜日~日曜日 午前10時~午後5時
休館 月曜日(イースターと聖霊降臨節の翌日を除く)、1月1日、5月1日、キリスト昇天祭、11月1日、12月25日
ウェブ www.museummayervandenbergh.be(英語)

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