ピーテル・デ・ホーホは、オランダ絵画の黄金時代にデルフトで活躍した風俗画家です。17世紀にデルフトで描かれた風俗画は、デルフト派として高く評価されています。ヨハネス・フェルメール と同じ頃、デルフトの絵画ギルドに所属し、お互い作品に影響を与えあったと言われています。

Pieter de Hooch Courtyard of a house in Delft, 1658 © The National Gallery, London
日本でもフェルメール展の際に作品が来日するなど、ピーテル・デ・ホーホに触れる機会が増えてきました。人気の画家フェルメールと比較される画家でもあります。この度、オランダで初となるピーテル・デ・ホーホの回顧展が開催されます。
企画展「デルフトのピーテル・デ・ホーホ : フェルメールの影に」
Pieter de Hooch in Delft: From the shadow of Vermeer
会期:2019年10月11日~2020年2月16日

Pieter de Hooch The mother, 1661 – 1663 © Staatliche Museen zu Berlin, Gemäldegalerie
オランダ17世紀を代表する画家ピーテル・デ・ホーホの、オランダ初となる回顧展が、デルフトのプリンセンホフ博物館で2019年10月11日から2020年2月16日まで開催されます。
日本の美術ファンの間で、ヨハネス・フェルメールに次ぐ同時代の風俗画家として知られるようになってきたピーテル・デ・ホーホ。彼が1652年から1660年にかけて、デルフト市民の中庭や室内の情景を描いた傑作29点が、英国、スペイン、アメリカなどのミュージアムから集まり、約400年ぶりにデルフトに帰還します。
本展は、イギリス王室コレクションやロスチャイルド家コレクションなど、世界的に有名な個人コレクションから6点が出品される、貴重な機会となります。オランダからもアムステルダム国立美術館、ハーグのマウリッツハウス美術館、休館中のロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館から作品が集まります。

Pieter de Hooch Woman and child at a bleaching field in Delft, 1657 – 1659. © Rothschild Collection (Waddesdon)
家の内外の情景を得意としたピーテル・デ・ホーホですが、なかでも中庭を描いたものの評価が高く、そうした作品にはいくつもの視点が点在し、遠近を描くことに長けていたとされています。
また、デ・ホーホが描いたのは人々の日常で、17世紀においては大変民主的な題材であったとされています。自然の光や遠近を上手に使い、開かれたドアから垣間見えるシーンを、親密さと温かみをもって描いたデ・ホーホは、日常の何気ない風景を素晴らしい情景として描くことに成功しました。子供と女性を配した絵には、こうした特徴がよく表れています。
デ・ホーホがデルフトに滞在したのは1652年から1660年と短いですが、その間に傑作を何点も生み出しました。画家が暮らし、作品を描いたデルフトの旧市街は、いまも17世紀の風情を色濃く残した場所として人気の古都です。この秋・冬にご旅行の方は、17世紀の傑作が生まれた町で開催される特別展にも、足を運んでみて下さい。
今後、上記ウェブでチケットが販売される予定です。
(通常料金12.50ユーロに企画展料金5ユーロ加算)

プリンセンホフ博物館
プリンセンホフ博物館(デルフト)
美術館ウェブ(英語) Museum Prinsenhof Delft
住所 Sint Agathaplein 1, 2611 HR Delft
「デルフトのピーテル・デ・ホーホ ~ フェルメールの影に」開催中は、12月25日と1月1日を除く、毎日午前9時~5時まで開館します。