
ホールン
2019年、オランダでは「レンブラント没後350年とオランダ黄金時代」がテーマの年になっています。17世紀はオランダの黄金時代といわれます。当時オランダは、ヨーロッパはもちろん世界各地との貿易で栄え、世界で最も裕福な国と呼ばれました。その富を背景に、美術の世界でもオランダは黄金期を迎え、レンブラント、フェルメール、フランス・ハルス、ヤン・ステーンらを輩出しました。
1602年オランダ東インド会社(V.O.C)の設立に前後して、オランダはアジア、アメリカ、アフリカなどヨーロッパ以外の国とも交易の範囲を広げます。オランダの船が日本に流れ着いて徳川家康と謁見したり、現在のニューヨークに到達して「ニューアムステルダム」と命名したりしたのもこの頃です。
当時、東インド会社の支社が置かれていたのはアムステルダム、ホールン、エンクハウゼン、デルフト、ロッテルダム、ミデルブルフの6都市。その中から、当時の栄光を感じられる港町ホールンとエンクハウゼンをご紹介します。

かつての港町の風情がのこるホールン
ホールン Hoorn
中世から陸上および海上交通の要所となり、1356年には都市権を得たホールン。17世紀初めには東インド会社の支社が建てられ、この地方の貿易の拠点として繁栄しました。
アクセス:アムステルダムから北に約40km、アムステルダム中央駅から直通電車で32分。
● 西フリース博物館 West Fries Museum
1500年~1800年の西フリースラント地方に関係する品々を集めた博物館。オランダ黄金時代、鎖国当時の日本や東インド会社関係の展示もあります。また、1616年オランダ人ウィレム・スハウテンとヤコブ・ルメールがヨーロッパ人として初めて南アメリカ最南端のホーン岬を回り、故郷の町ホールンをホーン岬として名付けましたが、彼らの17世紀の大航海の様子をVRで体験できるようになりました。さらに、2019年10月26日~2020年1月26日には、アムステルダム国立美術館ほかの博物館から借り受けた、水にまつわる40点の作品を展示する「クールウォーターズ」展を予定しています。
● ホールンのチーズ市 http://www.kaasmarkthoorn.nl/en/
町の中心ローデステーン広場 Roode Steenの計量所前では、夏の火曜日にチーズ市が開催されます。チーズは長らくホールンの重要な輸出品でした。現在、チーズ市では、ホールンから10kmほどのところにある王室御用達のベームスターチーズが使われています。
2019年の開催日:6月18日~8月27日の毎週火曜(8月13日を除く) 午後2時~3時半がメイン
プログラム:
午後1時~ 設営
1時45分~2時 開始
2時~2時10分 チーズ運搬人 入場
2時10分~3時30 西フリースラント地方のフォークロア・ダンスとチーズ市
3時半~3時45分 終了

ホールンのチーズ市(c)www.kaasmarkthoorn.nl

ホールンのチーズ市ではフォークロア・ダンスも披露される(c)www.kaasmarkthoorn.nl
エンクハウゼン Enkhuizen
17世紀、エンクハウゼンはオランダ屈指の裕福な街で、東インド会社に対しても大きな力を持っていました。数々の邸宅や運河、教会や城壁などが建ち並ぶ街の中心部を散策していると、当時の栄華を肌で感じることができます。
アクセス:アムステルダムから北に約60km、アムステルダム中央駅から直通電車で1時間2分。ホールン駅からは26分。

ゾイデル海博物館
● ゾイデル海博物館 Zuiderzeemuseum
この地域の昔の漁民の生活や船などが展示された民俗博物館のような場所。民族衣装に身を包んだ人々が生活道具の実演などをしてくれます。屋内外の施設があり、タイムトリップしたような感覚で楽しめます。

エンクハウゼンのゾイデル海博物館

ゾイデル海博物館では昔の作業を実演してくれる

ゾイデル海博物館には昔のお菓子屋さんも再現。実際に買うことができる
● ドロムダリスの塔 Drommedaris
1540年に町を守る城壁として建てられ、エンクハウゼンの町を守る見張り塔としての役割も担っていました。現在は文化センターとして使われています。

ドロムダリスの塔
●デ・ボフトDe Bocht
昔の家並みが残り、17世紀の面影が感じられる通り。Bochtという名は曲道を意味します。

De Bocht, Enkhuizen
● ホールン~メデンブリックのSLとメデンブリック~エンクハウゼンの遊覧船 https://www.stoomtram.nl/en
ホールン~メデンブリック間は観光用のレトロな蒸気機関車が走っています。周辺は季節の花や緑にあふれたのどかな場所です。さらに、メデンブリック~エンクハウゼンまでは船で移動できます。かつてのゾイデル海、現在のアイセル湖を遊覧船でわたり、オランダらしい昔の港町の景色が楽しんではかがでしょうか。遊覧船は途中ゾイデル海博物館にも停まります。SLと遊覧船をセットで楽しむと一日楽しめるプランとなります。
運行期間:2019年3月30日~11月16日
※夏季は毎日運行、夏季以外のシーズンは月曜日休業、10月~11月は週末のみ。その他の日もイベント開催日あり。
※運行日はウェブサイトで確認できます。
所要時間:ホールン~メデンブリックのSLは1時間20分、遊覧船はメデンブリック~ゾイデル海博物館までが1時間15分、メデンブリック~エンクハウゼンまでは1時間半
料金:ホールン~メデンブリックのSLとメデンブリック~エンクハウゼンの遊覧船のセット券 22.50ユーロ
※SL片道のみ、SL往復、遊覧船のみなど様々な組み合わせが可能です。
※2019年料金一覧はウェブサイトをご覧ください。

ホールン~メデンブリック 本格的なSLを気軽に体験できる

遊覧船から眺めるエンクハウゼン

町を少し離れると広がるのどかな園風景
モデルコース
ホールン、エンクハウゼンを含めたオランダ黄金時代ゆかりの町を巡るモデルプランをご紹介します。レンブラント没後350年関係の観光スポットも組み込んでいます。混み合っているアムステルダムを避けて、ハーグに4連泊、移動も少なめのゆったりプランです。
オランダ黄金時代の栄光を訪ねて 4泊6日
1日目——————————–
日本→アムステルダム・スキポール空港へ
アムステルダム・スキポール空港→ハーグ(44km/電車で30分)
ハーグ泊
2日目——————————–
ハーグ→アムステルダム(60km/電車で1時間)
アムステルダム
● 国立博物館:オランダ黄金時代レンブラントやフェルメールの作品で知られるオランダ最大のミュージアム。2019年10月11日~2020年1月19日は「レンブラントとベラスケス」展開催。
● 運河巡り:世界遺産17世紀の運河地区を水辺から巡る
アムステルダム→ライデン(47km/電車で40分)
ライデン
● 17世紀のオランダの巨匠レンブラント故郷ライデンでゆかりの地を巡る
● ラーケンハル美術館では2019年11月3日~2020年2月9日レンブラント没後350年特別展「若き日のレンブラント」展開催
ライデン→ハーグ(18km/電車で11分)
ハーグ泊
3日目——————————–
ハーグ→ホールン(95km/電車で1時間半)
ホールン→メデンブリック(SL乗車)→エンクハウゼン(遊覧船)*本ページ上記参照
または
古都ハーレム観光
ハーグ泊
4日目——————————–
ハーグ
● マウリッツハウス美術館:オランダ黄金時代の画家フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」、レンブラント「テュルプ博士の解剖学講義」など
● エッシャー美術館
ハーグ→デルフト(12km/電車で12分)
デルフト
● フェルメールの故郷を散策
● デルフト焼陶器工房ロイヤル・デルフト
ハーグ泊
5日目——————————–
出発までフリー
ハーグ→アムステルダム・スキポール空港(44km/電車で30分)
アムステルダム・スキポール空港発
6日目——————————–
日本着
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● 没後350年に訪ねたいレンブラントの故郷ライデン