組鐘とも呼ばれるカリヨンは、鐘を組み合わせた演奏楽器。もともとベルギー・フランダース地方の伝統楽器で、14世紀ごろ、時刻を知らせる教会や物見塔、鐘楼の大鐘が鳴ることを事前に知らせるための鐘が付けられたことから始まりました。その後、15世紀から16世紀に鐘の数が増え、全盛期を迎えたと言われています。
この度、そのカリヨンが世界無形遺産に登録されました。これで、既に文化遺産に登録されている(フランスと)ベルギーの鐘楼とそこから聞こえるカリヨンのどちらも世界遺産になりました。
ベルギー国内の36の市町村および世界の30の国々では、カリヨン文化を守るため数々の施策が取られています。ベルギーでは、カリヨン文化の歴史を守り、継続し、そして、今なお生き続きける遺産として、今後も発展させていく取り組みがなされています。古いカリヨンの修復保全、伝統文化の継承だけでなく、新しいカリヨン音楽の作曲、若い演奏者の育成など、未来のカリヨン文化の発展に向けた活動も行われています。中でも、ベルギー・フランダースの古都メッヘレンの国立カリヨン学校が果たしている役割は高く評価されています。
ユネスコのサイト http://www.unesco.org/culture/ich/index.php?lg=en&pg=00011&Art18=01017
ベルギーフランダースでカリヨンを楽しもう
ベルギー各地の街の鐘楼から鳴り響くカリヨンの鐘の音には、旅情をそそられるものです。そんなカリヨンを楽しめる場所をご紹介します。
メッヘレン
ブリュッセルとアントワープの中間にあり、古くはネーデルランドの首都だったこともある古都メッヘレン。街の中心グロート・マルクトの聖ロンバウツ大聖堂 の高さ97mの鐘楼には49個の鐘から成る大規模なカリヨンが2組あります。最古のものは1480年の鋳造。鐘楼の中にはカリヨンの演奏室があり、コンサートが行われることもあります。
またメッヘレンの国立カリヨン学校は、世界中からカリヨンを学びに生徒が訪れるカリヨンの聖地です。カリヨン奏者と共にカリヨン学校を巡るガイドツアーもあります。
●ガイドツアー1
カリヨン学校の見学とカリヨン演奏のデモンストレーション。所要1時間。料金 25名までのグループで60ユーロ。
●ガイドツアー2
カリヨン学校の見学と聖ロンバウツ大聖堂のカリヨン見学。所要2時間。料金 25名までのグループで110ユーロ(別途聖ロンバウツ大聖堂の入場料1人5ユーロ)
ブルージュ
ブルージュの街の中心マルクトにある鐘楼は、83メートルの高さを誇るブルージュのシンボル。ブルージュでは毎日カリヨンの鐘の音が鳴り響き、街行く人の心を和ませています。13世紀から15世紀にかけて建てられたブルージュの鐘楼には、大小合わせて47個の鐘がつけられました。鐘は鍵盤とワイヤーで結ばれ、一つ下の階に演奏室があります。鍵盤をこぶしで叩くようにして、力強く演奏するカリヨンの音は町中を朗々と明るい音で満たします。
時間ごとに鳴らされるカリヨンに加えて、ブルージュではカリヨン奏者によるコンサートも開かれています。
●カリヨン・コンサート(通年) 水・土・日 11時〜12時
●2015年夏のイヴニング・コンサート 6月13日〜9月12日の月・水 21時〜22時