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ベルギーでブリューゲルをめぐる旅

2019年は、ピーテル・ブリューゲル(父)の没後450年。画家が活躍したアントワープとブリュッセルを中心に、作品や作品に描かれた風景を体験するモデルコースをご紹介します。2019年のみ開催されるイベントや企画展もあります。3日間でブリューゲルの世界へトリップ!

≪1日目≫  宿泊地:ハッセルト

前日のうちにアントワープへ入っておきましょう。アントワープは、オランダのアムステルダム・スキポール空港から特急タリスで1時間、ベルギーのブリュッセル空港からベルギー鉄道で1時間と便利な立地です。列車で入ると、駅の大聖堂の異名をもつ、壮麗なアントワープ中央駅が迎えてくれます。

アントワープ中央駅 (c) Antwerp Tourism & Convention

ブリューゲルが画家として修行をし、絵画ギルドに名を連ね、名声のきっかけとなった版画の下絵制作を精力的に行ったのが、ベルギー第2の都市アントワープです。ファッションやアート、グルメなどの分野で感度の高いものがある町としても人気です。ブリューゲルめぐりの合間にショッピングも楽しみましょう。

● マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館  Museum Mayer Van den Bergh

アート収集家フリッツ・マイヤー・ヴァン・デン・ベルグのコレクションを展示するために建てられた、ネオゴシックスタイルの美しいミュージアムです。14~16世紀を中心に彫像、銀器、陶器、ステンドグラスなど幅広い芸術品が展示されています。お目当てはブリューゲル作「12の諺」と「悪女フリート」。「悪女フリート」は大がかりな修復を終え、2019年1月下旬に美術館に戻ってきたばかり。古いニスや加筆が取り除かれ、美しくよみがえった傑作を堪能しましょう。

ピーテル・ブリューゲル(父)作「悪女フリート」(中央)と「12の諺」(右)
Pieter I Bruegel, Dulle Griet in Museum Mayer van den Bergh, foto Ans Brys

● プランタン・モレトゥス印刷博物館 Museum Plantin Moretus

16世紀に創業した世界最古の産業印刷工房は、その卓越した技術によりヨーロッパの印刷出版業の中心となりました。世界遺産でもある博物館には、3万冊の書物や写本、1万枚を超える木版画など莫大な数のコレクションが収蔵されています。ブリューゲルやルーベンスの時代に最盛期を迎えた工房は、博物館となったいまも当時の雰囲気がよく保存されています。

プランタン・モレトゥス印刷博物館 (c) Victoriano

創業者クリストフ・プランタンは、版画出版業者ヒエロニムス・コックから購入した版画をヨーロッパ中に輸出しました。その中に有名な連作「7つの大罪」などのブリューゲルの銅版画も含まれていました。コックと協働したブリューゲルは、版画制作の中心で研鑽し、最高技術で刷られた版画が欧州各地に広まることで、その才能が知られていきます。館内にはブリューゲルの版画が飾られています。

● アントワープの企画展

「フーケからブリューゲルへ(仮)」
会期:2019年10月5日~2020年(アントワープ王立美術館リニューアルオープンまで)
会場:マイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館 Museum Mayer Van den Bergh

現在改修休館中のアントワープ王立美術館が所蔵する傑作のひとつジャン・フーケ作「聖母子」とマイヤー・ヴァン・デン・ベルグ美術館所蔵のピーテル・ブリューゲル作「悪女フリート」という女性をテーマにした2つの名画が一緒に展示されます。

フーケ作「聖母子」

「ヤン・ブリューゲル1世の素描画」
会期:2019年10月5日~2020年1月19日
会場:スナイデルス&ロコックスの家 Snijders Rockoxhuis

ピーテル・ブリューゲル(父)の次男ヤン・ブリューゲルを紹介します。父ピーテル・ブリューゲルが基礎を築いた風景画というジャンルを発展させた画家ヤンの作品の魅力を、イタリア時代の思い出、川と村の景色、道と旅人、森、海、海辺の風景といったテーマから探ります。

ロコックスの家 (c) KBC Bank NV, Erwin Donvil

アントワープ観光の後、ベルギー東部のハッセルトへ移動します。直通列車で約90分。

≪2日目≫  宿泊地:ブリュッセル

ブリューゲルの絵の風景を探す旅へ。午前中は、ブリューゲルの絵画をもとに農村風景が再現された野外博物館ボクライクへ足を延ばしてみましょう。ボクライク駅までは、ハッセルトから電車(CI)で15分です。午後はブリュッセル郊外へ。近隣の田園へと出かけたブリューゲルは、たくさんの農村や田園を描いた絵を残しています。画家にインスピレーションを与えた風景をいまも見ることができます。

● ブリューゲルの農村風景を探して

ベルギー東部にある野外博物館ボクレイクには、ブリューゲルの絵に出てくるような農家が保存されています。

(c) Bokrijk

博物館の創設者はブリューゲルの絵に魅せられ、強い思い入れを持っていました。そこでブリューゲルの絵を研究し、フランダース中の農村を探し、絵に描かれている農家に似た家屋数軒を解体・再構築してブリューゲル風の農家を再現しました。周辺に広がる牧歌的な風景もまさにブリューゲル。

(c)Bokrijk

「ブリューゲルの世界」
会期:2019年4月6日~10月20日
会場:野外博物館ボクレイク Bokrijk

ブリューゲル時代の農民の生活道具と現代の道具を比較したVR展示、ブリューゲル時代のゲームの再現、絵をモデルにした家屋の展示、巨大な納屋の内部を使った絵のプロジェクション(ブリューゲル絵画の中に入ったような体験)、コメディの上演など、期間中いろいろなイベントに出会えます。

● ブリューゲル街道

ランチはボクライクからブリュッセルまでの鉄道の車内で。ブリュッセルのホテルに荷物をおいたら、郊外のパヨッテンランドに足を向けてみましょう。この地方にはブリューゲルの絵に観られるフランダースの原風景が残されています。絵に描かれていると想定される場所(絵画のプレートが設置されています)をつないだルートは「ブリューゲル街道」と名づけられ、徒歩や自転車でめぐることができます。

ブリューゲル街道を示すプレート (c) Ekkow Photography

パヨッテンランドの風景 (c) Luc Bohez

シント・アナ・ペーデの教会 (c) Luc Bohez

ブリューゲル街道は徒歩ルートでも7kmほどあり、さらに1日ブリュッセルに滞在できる場合は、ぜひ絵画に描かれた場所を歩いていただきたいのですが(ブリューゲル街道について詳しくはこちら)、今回のコースではルート上のお城を1か所、訪問します。

● ガースベーク城

貴族の狩猟の館としてはじまり、中世から数々の歴史の舞台となったお城です。ブリューゲルの時代、16世紀にはベルギーとオランダの歴史に名を残した悲劇の英雄、エグモント伯の居城でした。現在はフランダース地域政府のミュージアムとして企画展が開催されています。

空から眺めたガースベーク城

ガースベーク城の広い敷地を散歩したり、伝統的な方法で栽培される果樹など貴重なものが観られる庭園をめぐったりと自然に親しむことができます。庭園から望む風景はまさにブリューゲルの世界そのもの。

ガースベーク城からの眺め

伝統的な果樹の栽培方法を保存している庭園 (c) Eddy Vangroenderbeek

「愚の饗宴:ブリューゲル再発見」
会期:2019年4月7日~7月28日
会場:ガースベーク城(ブリューゲル街道の一部)Kasteel van Gaasbeek
アクセス:ブリュッセル南駅(Brussels Midi/Zuid)から142番のバスで約30分。

ガースベーク城でもブリューゲル関連の企画展があります。画家に魅せられ、影響を受けた20世紀のアーティストの絵画、音楽、文学の作品を集めた特別展がお城の中で開催されます。風刺的ユーモア、隠れたメッセージ、農村の賛美といったブリューゲル作品にみられる気風を再発見。

≪3日目≫  宿泊地:ブリュッセル

最終日はいよいよ首都ブリュッセルへ。アントワープからイタリアへ旅行し、その後、腰を落ち着けたのがブリュッセル。ブリューゲルはここで結婚し、傑作をものにし、1569年9月9日に亡くなるまで暮らしました。

● ベルギー王立美術館

まず訪れたいのが、ベルギー王立美術館(古典美術館)です。「ベツレヘムの戸籍調査」「叛逆天使の墜落」などのピーテル・ブリューゲル(父)の傑作が観られます。父の作品を模写して後世に広めたり、独自の才能を開花させ画家として活躍した息子たちの作品も一緒に展示された『ブリューゲルの部屋』は必見です。

ベルギー王立美術館 ブリューゲルの部屋

また、ブリューゲル作品をバーチャルに体験できる特別展「見たことがないブリューゲル」が開催されています。細かい部分まで細密に描かれたブリューゲルの絵を、超解像度にデジタル化することで、肉眼で見る以上の細部を体感することができます。まるでブリューゲルの絵の中に入ったかのよう。

● ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会

ブリューゲルは当時のブリュッセルの下町、マロール地区に住んでいました。この地区にあるノートルダム・デュ・ラ・シャペル教会はブリューゲルが結婚式を挙げ、また葬られた場所でもあります。教会の敷地にはブリューゲルの銅像が、内部の小さなチャペルには埋葬されたことを記すプレートが残っています。

ノートルダム・ド・ラ・シャペル教会

● ブリュッセルの企画展

「16世紀ブリューゲルの時代を体験」
会期:2019年10月18日~2020年10月18日
会場:ハルの門 Hallepoort

中世から唯一残るブリュッセルの城門が『ハルの門 』です。現在はベルギー王立軍事歴史博物館となっています。ここでの企画展のテーマはブリューゲルの時代を体験すること。ブリューゲルの絵のVR体験や、ベルギー王立美術館から出品されるブリューゲル時代の楽器、当時最新の科学の品、武器や防具などの展示に加え、ブリューゲルが暮らしたマロール地区を望む、町の展望が開ける最上階で、ハイテク双眼鏡を使って16世紀の頃の景色を体験することができます。

ハルの門からの眺め

「白黒のブリューゲルの世界」
会期:2019年10月15日~2020年2月16日
会場:シャルル・ド・ロレーヌ宮 Palace Charles of Lorraine

ベルギー王立図書館が所蔵するブリューゲルを中心とした版画を公開します。ブリューゲルの時代、版画作品は額に入れて飾られていたのではなく、壁に立てかけたり机に置いたりして、気軽に家族や友人と楽しんでいました。こうした当時の風習と近い形で展示。会場のシャルル・ド・ロレーヌ宮はこの企画展のために改装されます。18世紀の美しい宮殿も合わせてご覧ください。

シャルル・ド・ロレーヌ宮

※イベント・企画展などの情報は2019年1月調べのものです。予告なく変更となる場合があります。

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